受胎告知(13)告知を理解したマリア


天使の話を聞いてマリアはその告知を理解します。

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By Tintoretto – The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH., Public Domain, Link

εἶπεν δὲ Μαριάμ· ἰδοὺ ἡ δούλη κυρίου· γένοιτό μοι κατὰ τὸ ῥῆμά σου. καὶ ἀπῆλθεν ἀπ’ αὐτῆς ὁ ἄγγελος. (Lc 1:38)

Dixit autem Maria ad angelum: « Ecce ancilla Domini; fiat mihi secundum verbum tuum ». Et discessit ab illa angelus.

そこでマリアは言った。「ごらんなさい、主の女奴隷がいます、あなたの言葉によって私にそれがおこりますように。」そして天使は彼女から去っていった。

εἶπενはアオリスト時制の動詞で「言った」です。ラテン語のautemは通常どおり「しかし」と訳したくなりますが神を讃える天使の話からの流れを考えると反対というわけではありません。ギリシア語のδέ 「他方で」を意識して使われていると思われます。ラテン語だけad angelum「天使に対して」という描写がされていますがこれがない版もありました。

間投詞の ἰδοὺ「見よ」の後で ἡ δούλη κυρίου「主人の女奴隷」を続くと「見よ〜を」と訳したくなりますが ἡ δούληは目的語として使われる対格ではなく主語として使われる主格であることに注意が必要です。「〜がいる」を意味するἐστιはしばしば省略されますのでこれを補って訳します。

δούληですが辞書にはfemme esclave「女の奴隷」以外の訳はなく、ラテン語のancillaについてはそのほかservante「召使」の意味がありました。フランス語LSではla servante du Seigneur、英語KJVでは the handmaid of the Lordとラテン語よりの訳になっています。ここではあえてギリシア語の単語を直訳して使いました。

γένοιτοはγίγνομαι「成る」のアオリスト希求法です。希求法はそうなることを望む場合に使われます。γένοιτό μοιと与格の人称代名詞 μοιをつけることで「私にたいしてそうなるように」という意味になります。κατά + 対格で「〜によって」の意味なので κατὰ τὸ ῥῆμά σουは「あなたの言葉によって」となります。

ἀπῆλθενはἀπέρχομαι「離れていく」のアオリストです。この動詞はἀπό「離れて」とἔρχομαι「来る」「行く」の複合語です。何から離れるかはἀπό + 属格で表現されます。これに相当するラテン語はab + 奪格です。

これで天使ガブリエルのマリアへの受胎告知は終わります。このあとマリアはエリザベトのところに出かけます。

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