洗礼者ヨハネ(4)その人物像


そもそもヨハネはどのような人なのでしょうか?その出で立ちと生活の様子がここで描かれています。

Accademia - St John the Baptist by Titian Cat314.jpg
By Didier DescouensOwn work, Public Domain, Link

Αὐτὸς δὲ ὁ Ἰωάννης εἶχεν τὸ ἔνδυμα αὐτοῦ ἀπὸ τριχῶν καμήλου καὶ ζώνην δερματίνην περὶ τὴν ὀσφὺν αὐτοῦ, ἡ δὲ τροφὴ ἦν αὐτοῦ ἀκρίδες καὶ μέλι ἄγριον. (Mt 3:4)

ipse autem Iohannes habebat vestimentum de pilis camelorum et zonam pelliciam circa lumbos suos esca autem eius erat lucustae et mel silvestre

そしてそのヨハネはラクダの毛でできた服を、腰のあたりに革のベルトを身につけていた、またその食糧はイナゴと野生の蜂蜜だった。

aὐτὸς ὁ Ἰωάννηςのaὐτὸςは「その人自身」という意味ですが指示形容詞のように単に「この」「その」と読み解いても構わない言葉です。εἶχενは動詞 ἔχωの未完了で「持っていた」「身につけていた」の意味です。

身につけているものの一つ目は対格 τὸ ἔνδυμα αὐτοῦは「彼の服」です。属格支配の前置詞ἀπόでその出自、ここでは素材を表します。素材はτριχῶν καμήλου「ラクダの毛」です。このに単語は両方共属格ですが並置ではなくκαμήλου「ラクダ」がτριχῶν「毛」を修飾していることに注意が必要です。ラテン語の場合はdeと続く奪格で表現されています。pilisは前置詞の影響を受けて奪格ですがcamelorumはギリシア語の場合と同じ理由で属格です。理由は不明ですが καμήλουは単数である一方でcamelorumは複数です。

身につけているものの二つ目はζώνην δερματίνην「革のベルト」でつけている場所は前置詞περίと続く対格 ὀσφύνで「腰のあたり」です。

次にἡ τροφὴ αὐτοῦ「彼の食糧」についての記述があります。一つ目はἀκρίδες、一般に「イナゴ」と訳されるようですが「バッタ」「コオロギ」「セミ」あたりまで指す言葉のようです。ラテン語 lucustaeはもっと意味が広く、上記に加え「甲殻類」「貝類」「ロブスター」など海の生き物まで意味する言葉です。ただ「荒野で生活している」という文脈から考えればこれらはありえないでしょう。

食糧の二つ目は μέλι ἄγριον「野生の蜂蜜」です。この時代すでに養蜂は存在しているので人の手を介しない蜂蜜を指す意味では ἄγριον「野生の」と限定するのは妥当なことだと思われます。

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