ヨハネによるロゴス(4)言葉と命、光と闇


言葉、ロゴスに関連した他の事柄が語られます。


By Vladimir Borovikovskyhttp://vkontakte.ru/album-10281420_94747874, Public Domain, Link

ἐν αὐτῷ ζωὴ ἦν, καὶ ἡ ζωὴ ἦν τὸ φῶς τῶν ἀνθρώπων· καὶ τὸ φῶς ἐν τῇ σκοτίᾳ φαίνει, καὶ ἡ σκοτία αὐτὸ οὐ κατέλαβεν. (Io 1:4-5)

in ipso vita erat, et vita erat lux hominum, et lux in tenebris lucet et tenebrae eam non comprehenderunt.

その中には生命があり、その生命は人々の光であった、そして光は闇の中で輝き、その闇はそれを掴むことはなかった。

ἐν αὐτῷは「その中に」の意味で、αὐτῷは与格男性単数で前節まで主題になっていた男性名詞 λόγος「言葉」を指します。主語はζωή「生命」「存在」、動詞 ἦνは未完了で「〜があった」を意味します。

καίを挟んだ次の文ではζωήが主語になります。ἡ ζωὴ ἦνは「その生命は〜であった」と訳します。補語は τὸ φῶς「光」で、属格複数 τῶν ἀνθρώπων「人々の」が続きます。

ラテン語文もこれに沿った構成になっています。in + 奪格で「〜の中に」を意味し、主語 vitaは「生命」、動詞 erat「〜があった」は未完了です。

つぎの文の主語は τὸ φῶς「光」です。同じ由来の動詞 φαίνω「照らす」「輝く」の三人称単数現在です。ἐν + 与格で場所を表し、σκοτία「影」「闇」の与格σκοτίᾳが続きます。ラテン語のlux「光」とlucet「光る」も同じ由来の言葉です。

最後の文の主語はσκοτίαです。κατέλαβενはκαταλαμβάνω「掴む」のアオリストでその対象は中性代名詞 αὐτόで同じ中性名詞のτὸ φῶς「光」を指しています。κατέλαβενに対応するラテン語はcomprehenderuntでcomprehendoの完了です。この単語はフランス語のcomprendreや英語のcomprehend、ともに「理解する」の意味の動詞につながります。ラテン語のcomprehendoも「掴む」の他に「理解する」の意味もあります。

ちなみに「闇」を表す奪格tenebrisや主格tenebraeは複数形です。この名詞は単数では「無知」という別な意味を持ちます。この言葉に由来するフランス語 ténèbres「闇」は常に複数形です。

これらの4つの文章の流れを以下にまとめておきます。

  • 言葉の中に生命があった
  • 生命は人々の光であった
  • 光は闇の中で輝く
  • 闇は光を掴まなかった

言葉と生命と光の親近性が語られる一方でそれと相容れない闇の存在も示されています。

 

ヨハネによるロゴス(4)言葉と命、光と闇」への2件のフィードバック

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