ヨハネによるロゴス(5)洗礼者ヨハネ1


神と言葉について語られた後で、その言葉について別な角度から記述が行われます。

Allori C San Giovanni.jpg洗礼者ヨハネ By Cristofano Allorihttp://www.rz.uni-leipzig.de/ru/bilder/johannes/allorit1.htm, Public Domain, Link

Ἐγένετο ἄνθρωπος, ἀπεσταλμένος παρὰ θεοῦ, ὄνομα αὐτῷ Ἰωάννης· (Io 1:6)

Fuit homo missus a Deo, cui nomen erat Iohannes;

ある人がいた、神によって遣わされ、その名はヨハネといった。

ἐγένετοはγίγνομαι「〜ある」「成る」のアオリストでいわゆる昔話の「むかしあるところに〜がいた」のような語り口になります。主語はἄνθρωπος「人間」「人」「男」です。

この主語には分詞で修飾があります。ἀποστέλλω「送る」の完了受動分詞です。παρά + 属格でその動作主を表しθεός「神」の属格 θεοῦが続きます。

ὄνομα αὐτῷは名前を表現する構文で未完了の動詞 ἦν「〜であった」を補完して「彼に対する名は〜であった」という意味になります。Ἰωάννηςは主格で「ヨハネ」ですが「ヨーンネース」またはαを有気音ἁに見立てて「ヨーンネース」のような発音になります。

ギリシア語ではὄνομαの前に接続詞はなく、そのまま文が連結されていますが。ラテン語文ではαὐτῷ「彼に対する」に相当する箇所は関係代名詞の与格 cuiに置き換えられています。日本語で関係代名詞を語順を変えずに訳すのは不可能なので、cuiはet ei「そして彼に対する」と解釈しました。

ここに出てくるヨハネは福音記者ヨハネとは別の人物で、Ἰωάννης ὁ βαπτιστὴς「洗礼者ヨハネ」と呼ばれています。マタイによる福音書にもこの人物は語られています。以前これを記事として書いていますので参照してください。

洗礼者ヨハネ(1)荒野の説教1

 

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