言葉を受け入れた人々についての記述が続きます。
By Flaminio Torre – Biblioteca Nacional Digital do Brasil: info; image, Public Domain, Link
οἳ οὐκ ἐξ αἱμάτων οὐδὲ ἐκ θελήματος σαρκὸς οὐδὲ ἐκ θελήματος ἀνδρὸς ἀλλ’ ἐκ θεοῦ ἐγεννήθησαν. (Io 1:13)
qui non ex sanguinibus neque ex voluntate carnis neque ex voluntate viri, sed ex Deo nati sunt.
そして彼らは血からではなく、また肉体の欲望からでもなく、また人の欲望からでもなく、ただ神から生まれた。
最初の οἵは関係代名詞の男性主格複数で先行詞は「言葉を受け入れたすべての人々」です。一般に長い文章の関係節は主節のように開いて読みます。οἵは「そして彼らは」とします。
動詞はγεννάω「産む」のアオリスト受動態 ἐγεννήθησανで「生まれた」と読みます。どこから生まれたかというと ἐξ + 属格で記述され、ここでは4回使われています。οὐ(κ) … οὐδέ … οὐδέ … ἀλλά …は「〜でなく〜でもなく〜でもなく〜である」という表現です。前置詞に導かれる属格は四つあり、αἷμα「血」の属格複数αἱμάτων、θέλημα「欲望」の属格単数 θελήματοςが2つ、θεός「神」の属格単数θεοῦがこれに当たります。θελήματοςにはそれぞれσάρξ「肉体」の属格σαρκόςとἀνήρ「人」の属格ἀνδρόςで修飾されています。
ここまでラテン語でも同じ構文になっています。
この四つを並べると以下のようになります。属格でなく主格になおしてあります。
- αἴματα 「血」
- θελήματα σαρκός 「肉体の欲望」
- θελήματα ἀνδρός 「人の欲望」
- θεός 「神」
これは下に行くに連れて高次の概念になるように並べてあります。肉体の欲望とは動物も持ちうる生殖の欲求を、人の欲望とは一族の繁栄や快適な欲望などを指しています。ここで言われる「彼ら」も先祖がいて人間の親がいてその生殖により肉体を受けたわけですから最初の三つの影響で「生まれた」ことは疑問の余地がありませんが、「言葉を受け入れる」ことにより「神から」再び「生まれた」ことになったと解釈できます。