賢者達は務めを果たし帰っていきます。
By Gentile da Fabriano – Web Gallery of Art: Image Info about artwork, Public Domain, Link
Καὶ χρηματισθέντες κατ’ ὄναρ μὴ ἀνακάμψαι πρὸς Ἡρῴδην, δι’ ἄλλης ὁδοῦ ἀνεχώρησαν εἰς τὴν χώραν αὐτῶν. (Mt 2:12)
Et responso accepto in somnis, ne redirent ad Herodem, per aliam viam reversi sunt in regionem suam.
そして夢に従ったかれらは、ヘロデのそばに戻らないために、別な道を通って彼らの土地に戻っていった。
この主節も主語は分詞で表現されています。χρηματισθέντεςはχρηματίζω「占める」「取引する」のアオリスト受動分詞です。κατά + 対格で「〜により」「〜に従って」を表現しますが、対格 ὄναρ「夢」が続きます。χρηματισθέντες κατ’ ὄναρは「夢によって占められた彼らは」と直訳ではなりますが、彼ら賢者たちが夢判断のような技術を使い、それに従ったことを意味します。
ラテン語は分詞ではなく絶対奪格です。主語は中性名詞 responsum「返事」「答え」の奪格単数、動詞はaccipio「受け取る」「受け入れる」の完了受動分詞の奪格中性単数、in somnisは「夢の中で」です。responso accepto in somnisは「夢の中で返事が受け取られて」と訳すことができ、意味的にはギリシア語の分詞構文とそれほど変わりません。
μήは接続詞で「〜しないために」という従属節を作ります。しないようにするのはἀνακάμπτω「凸型に曲げる」「戻る」のアオリスト希求法です。πρὸς + 対格で「〜のそばへ」の意味になり、ここでは対格 Ἡρῴδην「ヘロデ」が続きます。ラテン語の接続詞 neも同様に「〜しないために」で接続詞utの否定形と考えることができます。そしてこれに続く動詞は接続法が使われます。
主節の動詞はἀναχωρέω「戻る」のアオリスト、εἰς + 対格は「〜にむかって」「〜のなかへ」を表し、χώρα「土地」の対格χώρανとそれを補完する属格複数αὐτῶν「彼らの」が続きます。διά + 属格は「〜を通って」を表し、δι’ ἄλλης ὁδοῦで「他の道を通って」となります。
賢者たちはヘロデ王の臣下ではないのでその支配地域を出てしまえば、生まれたばかりのクリストスのことをヘロデ王に報告する義務はなかったでしょう。ヘロデ王は自分の地位を危うくするクリストスの排除に動きます。これが『幼児虐殺』と呼ばれる出来事ですが、ひとまず賢者たちの話はここで終わります。
東方の賢者たちシリーズを拝見しました。とても私に入り込んできました。
日本語訳を引用したいのですがよろしいでしょうか?
松本様
コメントありがとうございます。引用元として当サイト名とリンクを表記していただければ問題ございません。
お返事ありがとうございまし。そして良いお返事ありがとうございます。