ナザレトの町に住むヨセフもこの人口調査の布告に従いました。
By Guido Reni – The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH., Public Domain, Link
Ἀνέβη δὲ καὶ Ἰωσὴφ ἀπὸ τῆς Γαλιλαίας ἐκ πόλεως Ναζαρὲθ εἰς τὴν Ἰουδαίαν εἰς πόλιν Δαυὶδ ἥτις καλεῖται Βηθλέεμ, διὰ τὸ εἶναι αὐτὸν ἐξ οἴκου καὶ πατριᾶς Δαυίδ, (Lc 2:4)
Ascendit autem et Ioseph a Galilaea de civitate Nazareth in Iudaeam civitatem David quae vocatur Bethleem, eo quod esset de domo et familia David,
そしてヨセフもまたナザレトの町を出てガリラヤを離れユダヤのベツレヘムと呼ばれるダビデの町へ入っていった、彼がダヴィデの家の出でありその血統の出身である事実のために、
ἀνέβηはἀναβαίνωのアオリストで「登る」「進む」「育つ」の意味があります。ἀνα-は「上へ」を表す接頭辞、βαίνωは歩くという意味で、ここでの「上」は日本語の「上京する」の「上」と似た意味があると理解できます。καίは接続詞ではなく副詞で καὶ Ἰωσὴφは「ヨセフもまた」と訳します。
その後たくさんの前置詞が続きます。それらは ἀπὸ τῆς Γαλιλαίας「ガラリアを離れて」、ἐκ πόλεως Ναζαρὲθ「ナザレトの町を出て」、 εἰς τὴν Ἰουδαίαν「ユダヤの中へ」、 εἰς πόλιν Δαυὶδ「ダヴィデの町の中へ」です。このπόλινを先行詞とした関係節が関係代名詞 ἥτις以下から始まります。καλεῖταιはκαλέω「呼ぶ」「名付ける」の現在受動態で「その街は名づけられた」と訳せます。そしてその名前はΒηθλέεμ「ベツレヘム」です。
最後に διά + 対格で理由を示します。τὸ εἶναι αὐτὸνは不定詞構文に定冠詞がついたもので「彼が〜である事実」を意味します。ἐξ + 属格で「〜から外へ」を意味しοἶκος「家」の属格 οἴκουとπατριά「血統」の属格 πατριᾶςが続きます。Δαυίδ「ダヴィデ」は無変化ですが同様に属格として考えて良いでしょう。
ラテン語はここまでギリシア語のほぼ直訳ですがδιά以降の箇所の構文が異なっています。eoは理由を表す副詞「その理由のため」で、その内容はquod以降の関係節で説明されています。
ヨセフは聖母マリアの夫で、イエスの法律上の父になります。カトリックでは聖ヨセフとして知られ、その職業は大工であったと言われます。このことから聖ヨセフは職業従事者の守護聖人とされています。