羊飼いたちはベツレヘムの町にやってきました。
Par Pierre Paul Rubens — http://www.undo.net/it/mostra/26812, Domaine public, Lien
καὶ ἦλθαν σπεύσαντες καὶ ἀνεῦραν τήν τε Μαριὰμ καὶ τὸν Ἰωσὴφ καὶ τὸ βρέφος κείμενον ἐν τῇ φάτνῃ· (Lc 2:16)
et venerunt festinantes et invenerunt Mariam et Ioseph et infantem positum in praesepio.
そして彼らは急いでやってきてマリアとヨセフと飼い葉桶に寝かされた赤ん坊とを見つけた、
主語は省略されていますが羊飼いたちです。動詞は2つあり、一つはἔρχομαι「来る」「行く」のアオリストἦλθαν、もう一つはἀνευρίσκω「発見する」のアオリストἀνεῦρανです。ラテン語のveneruntとinveneruntは完了時制です。
σπεύσαντεςはσπεύδω「急ぐ」のアオリスト能動分詞で、ἦλθαν σπεύσαντεςは「彼らは急いで来た」となります。
発見した対象は三つあります。複数のものを同時に列挙するにはτε … καί … καί …「〜と〜と〜と」という形で表現します。ここでは Μαριὰμ「マリア」と Ἰωσὴφ「ヨセフ」と βρέφος「新生児」です。それぞれ対格の定冠詞がτήν、τόν、τόがついていて動詞の目的語であることがわかります。ギリシア語では固有名詞にも定冠詞が付くことがあります。これは現代語のような既出であることを示しているのではなく、構文上の役割を示すためのものです。βρέφοςはκεῖμαι「寝かせる」の完了受動分詞κείμενονと ἐν τῇ φάτνῃ「飼い葉桶の中に」で修飾されています。
ラテン語文はギリシア語原文に忠実に訳されています。
旧約のころから羊飼いは統治者や宗教的精神的指導者のメタファーとして使われてます。イエスの誕生した場所と推測される家畜小屋は、救済者の誕生に世間が冷遇したと解釈することもできますが、羊飼いたちの訪問に対して通常の宿屋よりも適切な舞台を提供しているように思えます。