羊飼いたちはイエスの誕生の最初の目撃者でした。
By Gerard van Honthorst – Google Art Project, Public Domain, Link
ἰδόντες δὲ ἐγνώρισαν περὶ τοῦ ῥήματος τοῦ λαληθέντος αὐτοῖς περὶ τοῦ παιδίου τούτου. (Lc 2:17)
Videntes autem notum fecerunt verbum, quod dictum erat illis de puero hoc.
そしてそれを目にした彼らは、その話について、その子供について彼らに語られたことについて世に知らしめた。
ギリシア語の δὲやラテン語のautemは一般に「しかし」という訳をしますが前節と反対の流れにはなっていませんので「そして」でよいでしょう。
主語は省略されていますが羊飼いたちです。ἰδόντεςはεἶδον「見る」のアオリスト能動分詞ですがこれを使って「見た彼らは」と訳して良いでしょう。見たものはここにはありませんが、主節ででてくるῥήματος「話」の内容に相当すると思われます。
動詞はγνωρίζω「知らせる」のアオリストἐγνώρισανです。目的語がありませんが一般に「人々」を想定して良いと思います。ラテン語では二語notum fecerunt「知らせを行う」がこれに相当します。
περί + 属格「〜を主題として」で話した内容を表します。続くのは ῥῆμα「人が話すこと」「話」の属格 ῥήματοςで、同格で τοῦ λαληθέντοςでその言い換えをしています。λαληθέντοςはλαλέω「話す」「喋る」のアオリスト受動分詞で、与格αὐτοῖς「彼らに」と再度 περίと属格 τοῦ παιδίου τούτου「その子供」が続きます。 τοῦ λαληθέντος αὐτοῖς περὶ τοῦ παιδίου τούτουは「その子供について彼らに語られたこと」と解釈できます。
ラテン語ではnotumが対格でfeceruntの目的語となっていますが、このnotum feceruntを一つの動詞「知らせた」として見立て再度対格verbum「言葉」を目的語として取っています。quod以下はverbumを先行詞とした関係節でdictum eratはdico「言う」の過去完了受動態です。与格のillis「彼らに」、de + 奪格「〜について」、奪格のpuero hoc「この子供」あたりはギリシア語と同じ構造になっています。
前節でも書きましたが羊飼いは統治者や宗教的精神的指導者のメタファーとして使われます。家族を除いた最初の人間の目撃者がこの羊飼いたちであるということはイエスの誕生に重要な意味を持たせていると思います。