イエスの誕生(21)割礼と名付け


イエスの誕生の話はここで終わります。

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By Guido Reni – The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH., Public Domain, Link

Καὶ ὅτε ἐπλήσθησαν ἡμέραι ὀκτὼ τοῦ περιτεμεῖν αὐτὸν καὶ ἐκλήθη τὸ ὄνομα αὐτοῦ Ἰησοῦς, τὸ κληθὲν ὑπὸ τοῦ ἀγγέλου πρὸ τοῦ συλλημφθῆναι αὐτὸν ἐν τῇ κοιλίᾳ. (Lc 2:21)

Et postquam consummati sunt dies octo, ut circumcideretur, vocatum est nomen eius Iesus, quod vocatum est ab angelo, priusquam in utero conciperetur.

そして彼に割礼のための8つの日が満たされたとき、彼の名はイエスと呼ばれることとなった、それは彼をその腹に授かる前に天使によって名付けられたものである。

ὅτεは接続詞でここでは時間を表します。主語はἡμέραι ὀκτώ「8つの日」、動詞は πίμπλημι「満ちる」のアオリスト受動態です。ここまでで「8つの日が満たされたとき」となります。これに属格の定冠詞で不定詞 τοῦと περιτέμνωのアオリスト不定詞 περιτεμεῖνが続きます。この動詞はπερί「周囲の」とτέμνω「切る」の複合語です。ユダヤでは男子は生後8日に陰茎の皮を切り取る風習がありました。これは衛生的医療的な意味もあったようですが同時に宗教的な意味も持っていたようです。日本語ではこれを「割礼」と呼びます。

ラテン語ではpostquam「〜の後に」で従属節を作りconsummo「数え上げる」の能動態完了consummati suntとdies octo「8つの日」が続きます。utで「の結果となる」という意味の従属節を作り circumcidoの接続法未完了受動態 circumcidereturが使われています。このcircumcidoもcircum「周囲の」とcido「切る」の複合語でギリシア語のπεριτέμνωをそのままラテン語化しています。

主節の主語は τὸ ὄνομα αὐτοῦ「彼の名前」で動詞はκαλέω「呼ぶ」「名付ける」のアオリスト受動態 ἐκλήθηです。補語に名前 Ἰησοῦς「イエス」がありますが実際は「イエーース」のように発音される文字です。

これには分詞で補足があります。κληθένは同じくκαλέωのアオリスト受動分詞で定冠詞を伴い τὸ κληθὲν「名付けられたもの」となります。ὑπό + 属格でその行為者を表し、ὑπὸ τοῦ ἀγγέλου「天使によって」を意味します。τὸ κληθὲν ὑπὸ τοῦ ἀγγέλουで「天使によって名付けられたもの」でἸησοῦςの言い換えになります。ラテン語では関係代名詞 quodで関係節を築いています。ここではラテン語訳のように関係節として訳したほうがわかりやすいです。

πρό + 属格で「〜の前に」を表しここでは定冠詞 τοῦとσυλλαμβάνωのアオリスト受動不定詞 συλλημφθῆναιが続きます。συλλαμβάνωはσυν-「一緒に」とλαμβάνω「取る」の複合語で「子を授かる」の意味でルカによる福音書の受胎告知(Lc 1:31, 1:36)にも見られる動詞です。対格 αὐτὸνはこの動詞の目的語で「彼」つまりイエスのことです。ἐν + 与格で場所を表しκοιλία「腹」の与格κοιλίᾳが続きます。πρὸ τοῦ συλλημφθῆναι αὐτὸν ἐν τῇ κοιλίᾳは「彼をその腹に授かる前に」と読めます。

天使によるマリアへの妊娠の知らせはルカによる福音書の1章にあり、イエスの名もそこ(Lc 1:31)に出てきています。

καὶ καλέσεις τὸ ὄνομα αὐτοῦ Ἰησοῦν.

et vocabis nomen eius Iesum.

そしてその子の名前をあなたはイエスと呼ぶであろう。

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