パウロの新約(2)心の推薦状1


書物やそれを携える人を推薦する手紙、つまり推薦状のあり方をパウロは語ります。

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コリントスの遺跡 By Ronny Siegel, CC BY 3.0, Link

ἡ ἐπιστολὴ ἡμῶν ὑμεῖς ἐστε, ἐγγεγραμμένη ἐν ταῖς καρδίαις ἡμῶν, γινωσκομένη καὶ ἀναγινωσκομένη ὑπὸ πάντων ἀνθρώπων· (2 Cor 3:2)

Epistula nostra vos estis, scripta in cordibus nostris, quae scitur et legitur ab omnibus hominibus;

あなた方は私達の手紙である、それは私達の心に刻み込まれ、すべての人々によって知られ読まれている。

主語 ὑμεῖς「あなた方」と動詞 εἰμί「〜である」の二人称複数現在のἐστεで「あなた方は〜である」となり、補語はἐπιστολή「手紙」で、属格 ἡμῶν「私達の」で補完されています。

次に3つの完了受動分詞が続きます。すべて主格女性単数で同格であるἐπιστολήに掛かっています。最初は ἐγγράφω「刻み込む」の完了受動分詞 ἐγγεγραμμένηです。ἐγγράφωはγράφω「書く」「彫る」の頭にἐν「中に」が着いていて「彫り込む」とか「刻み込む」の意味になります。刻み込む先は ἐν ταῖς καρδίαις ἡμῶν「私達の心の中に」です。

二つ目の分詞は γιγνώσκω「知る」の完了受動分詞 γινωσκομένηで、最後はἀναγιγνώσκωの完了受動分詞 ἀναγινωσκομένηです。ἀναγιγνώσκωはγιγνώσκωの前にἀνα-「通して」がついているもので「よく知る」「理解する」の他に「読む」「説得する」などの意味があります。

後半2つの分詞はラテン語では関係代名詞quaeと直接法現在受動態で表現されています。scitur「知られている」とlegitur「読まれている」 です。legiturからἀναγιγνώσκωの複数の意味のうち「読む」が取られていることがわかります。

ὑπὸ πάντων ἀνθρώπων「すべての人達によって」は γινωσκομένηと ἀναγινωσκομένηの両方に掛かっています。

ここで出て来る手紙とは前節にあった「推薦に値する旨の書かれた手紙」のことです。書物の真偽を判定する「手紙」は人の心の内部にあるとパウロは言っています。

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