このサイトについて


このサイトは聖書、特に新約聖書を拾い読みする記録として作っています。聖書を一つの森として例えるならば拾い読みは森の散歩と言えるでしょう。心の向くまま散歩をしているうちに、自分がどのような道を散歩したのか、またその途中で何を見つけたかを書き留めたいと思ったのです。この森はとても広く深く、周囲の他の森ともつながっているので道を覚えきれる自信がありません。

私はキリスト教徒でもありませんし、アブラハムに由来する他の宗教の信者でもありません。ギリシアやローマの古典に興味を持ち、ギリシア語とラテン語を学び、様々なテキストを拾い読みしていたところ、私は新約聖書に「再び」出会いました。

小学生の頃、私の家族は教会と関係があり、その教会のこどものための聖書講座に私も参加したことがありました。今から考えれば残念なのですが当時の私はそれにはあまり興味をもてませんでした。聖書の文化的な背景や社会事情を理解していなかった私にとって、登場する人々がどうしてそのようなことをするのかうまく飲み込めなかったのです。

今再び新約聖書を読んでみて感じるのはその率直な語り口です。気構えて読まなくてはならないほど難解な文章はほとんどありません。日本語を始めとする他の現代語で新約聖書は何度も読んでいるので、その内容は大体知ってはいるつもりです。しかし、原語であるギリシア語でもう一度読み返したいと常々思っていました。そこで記録を取りながらこの森を散歩することに決めました。参考のためラテン語のテキストも併読したいと思います。ラテン語版聖書は新約の成立に関わるほど古いためギリシア語だけでは迷いのある解釈には参考にできます。

参考とする版はヴァチカンの発行しているギリシア語とラテン語のバイリンガルの新約聖書NOVUM TESTAMENTUM GRAECE ET LATINEです。旧約聖書はギリシア語Seputuaginta、ラテン語Vulgataの共に Deutsche Bibelgesellschaft版を参考にします。

ギリシア語やラテン語は中級程度の文法理解がある前提で書いています。必要があれば英語の欽定訳King James Version (KJV)やフランス語のLouis Segond版 (LS)を参照します。日本語訳は特に参照しません。

ギリシア語の翻訳にはle Grand Baillyのギリシア-フランス辞書を使っていますが、こちらは古い版をネット上で参照できます。

ラテン語の翻訳にはLe Livre de Pocheのラテン語-フランス語辞書を使っています。語数は少なめですが上のギリシア語の辞書より小型で軽く持ち運びに向いています。

自分なりの日本語訳も添えますがギリシア語を主にラテン語を副として文法解釈し、途中でフランス語経由で訳しているので、流通している日本語の聖書の文章とは違っているかもしれません。また気の向いたまま読むため、順番どおりには読みません。神学上の解釈は読み解きで参考にすることはありますが、信仰については必要のない限りあまり踏み込みません。文法解析の指摘や日本語訳の誤りについてはお返事するようにしますが個人の信仰についてのコメントに対してはお返事しないこともあります。

アメリカやヨーロッパの思想や文学作品、絵画や彫刻、映画、テレビドラマなどでも聖書を題材にしたものやその引用は頻繁に見られます。キリスト教徒でなくても聖書の理解は西洋文明をより深く知る助けになると思っています。

ミナ・ベルジェ