修辞法の一つに予弁法というものがあります。フランス語でprolepse (f.) と呼ばれ、ギリシア語のπρόληψις 「前もって取ること」に由来します。
修辞法では特に展開する議論に対して聞き手が持ちうるだろう疑問について予め答えておくことによって、議論の流れをスムーズに展開するという方法として理解されています。例えば以下のような語り方で最初に疑問を提示しておきます。
- Vous me direz que …
- On fera remarquer que …
- Direz-vous … / Vous me direz que …
- On prétendra que … / Vous prétendrez que …
- On nous soutiendra que …
これに続いて論駁 réfutation (f.) が展開されます。prolepseにおける論駁は特別にupobole と呼ばれます。
また物語や歴史の語りの中で最後に来る出来事を先取りすることもProlepseと呼ばれます。
- Nous verrons … / On verra …
- pour anticiper …
以下はフランスの文学理論家 Gérard Genetteの示した例文です。
On verra plus tard que, pour de toutes autres raisons, le souvenir de cette impression devait jouer un rôle important dans ma vie.
ギリシア語やラテン語では近代語より語順が自由なため、通常であれば前置詞の後に続くはずの語(前置詞の各支配を受けた形容詞など)が前置詞の前に置かれることがあります。この現象もProlepseと呼ばれています。