横浜方言の基本的な文法や語彙と、動詞として最重要であるarimas動詞を学びます。
冠詞
横浜方言には冠詞は存在しません。日本語にも冠詞は存在しないのですが、英語圏の学習者のために特にこのことは明記しておく必要があるでしょう。
文法上の性
英語の人称代名詞やフランス語の名詞や形容詞全般にあるような文法上の性は存在しません。以下「彼」としているものは「彼女」として使用することができます。
人称代名詞
標準日本語と異なり「てにをは」などの助詞はつきません。
- watarkshee 私は、私の
- watarkoosh’ 私(「鉱山所有者や金持ちが使う」との記述があるが詳細不明)
- watarkoosh’ domo 私達は、私達の(単数のwatarksheeで代用可能)
- oh my 君は、君の(「お前」より)
- acheera sto 彼(「あちらの人」より)
敬称は-sanを付けます。また目上の人への呼びかけには donnnasan(「旦那さん」より)や anattar(「あなた」より)を使います。
名詞
- caberra mono 帽子(「かぶりもの」より)
- acheera sto caberra mono 彼の帽子
- nang eye chapeau シルクハット(「なんがい」の由来は不明、chapeauはフランス語から)
- tempo 硬貨、小銭(「天保銭」より)
- oh my tempo 君の小銭
- mar 馬(「うま」から「う」が脱落)
- watarkshee mar 私の馬
- mar key 薪
- boto ボート
- watarkshee boto 私(たち)のボート
- oh char お茶
- oh my oh char 君のお茶
arimas動詞
英語でいうbe動詞の働きをしますが、人称や数による語尾変化はしません。同様に時制(過去・現在・未来)や様態・法(英語の助動詞 can「〜できる」に相当するものなど)は文脈から読み取る必要があります。
およそ以下のような意味で使用されます。
- 持つ(持つつもりだ、持った、持てるなど)
- 手に入れる
- 〜である(英語のbe動詞に相当)
- 〜でありたいと願う
- 家にいる
- 到着する
- 欲しい
いくつか例文を見ましょう。上で述べたように文脈で意味が変わり得るため、日本語訳はその一例です。疑問文はそのまま文末を上げるだけです。
Mar arimas ?
馬をお持ちですか?Tempo arimas.
彼は小銭を持っています。
それは小銭です。Boto arimas ?
ボートをあなたは持つ予定でしょうか?Charm arimas ?
おたくに小さな象牙の飾り物の在庫はありますか?Jones-san arimas ?
ジョーンズさんはご在宅ですか?Oh char arimas ?
お茶はありますか?Oh char arimas.
彼はお茶を飲んだ。Mar arimas ?
馬は到着しましたか?Mar arimas.
それは馬でした。Watarkshee caberra mono arimas.
私の帽子はここにあります。Watarkoosh’ nang eye chapeau arimas.
私はシルクハットが欲しいです。
文脈によって様々な意味を示すことができます。
一般動詞
- cow 買う
- katchimas 商売で利益を得る(「勝ちます」より)
- so so 衣服を修繕する(英語のsawからか?)