FtMとの邂逅

こんにちは、サクラです。

私は以前FtMの方と接触していたかもしれない、という話を今日はします、真偽不明ですが。

ずいぶん昔の出来事であること、また当時の私に知識がなく正しい認識が出来なかったことから、確定はできないのですが、今知りうる限りの事実を積み上げると、私はFtMの方と接触していたと思われます。それは性的な体験を伴うものでした。

まだ私が性同一性障害というものを知る前のこと、自分の中にある混乱をよく理解できないでいた話は以前しました。

迷い道

私はまだ自分が男性であることに疑いを持たず、その一方で異性愛者であることに対しては疑いを持っていました。このことから導きだされる一番わかり易い結論は自分がゲイ、つまり同性愛者だということです。ずいぶんあとでその結論が間違っていることに気づくのですが。

でも当時はその結論に従い、私は大きな街にある発展場という場所に出入りしていました。「発展」というのは男性同士の性行為を指す言葉です。有料発展場は男性のみが入れる場所で、旅館とサウナが一緒になったようなところです。入り口でお金をはらってロッカーで裸になった後、お風呂やサウナに入ったり、暗い大部屋で気が向いた人と発展したりします。腰にタオルを巻く人もいれば、何も巻かずに股間をそのまま見せる人もいます。

私が出入りした場所がたまたまそうだったのかわかりませんが、そこでよく見かける人は筋肉の発達した、角刈りでヒゲの人が多かったと思います。小さくてあまりマッチョとはいえない私は見劣りしていましたが、それでも何度か発展したこともありました。

あるとき暗い大広間に横になっていたときに一人の人が近づいてきました。暗くて顔がわからないのですが短髪で小柄な人でした。私の隣に横になり二言三言話すと私の股間に手を伸ばしてきました。彼が私にどういう触り方をされたのか暗くて全然わかりませんでしたが、とても気持ちがよく手で触られただけですぐに達してしまいました。こんなことは初めてでした。

私は彼にとても上手だけれど、どうやったのか聞いてみましたが、なんだか笑ってごまかされました。私が知っている限りとても異質なテクニックでした。

そしてしばらくしてまた彼に触られ同じように達してしまいました。私は自分だけ一方的にされているのでお返しをしたいと思い、彼のものに手を伸ばしました。しかし触った彼のものは小指の第二関節ほどの小ささでした。私は期待していた大きさとのギャップに一瞬躊躇してしまいました、事故か病気かで不幸にもこんなことになってしまったのだろうかと。

彼はそんな私に気づいてか、このように言いました、自分のは触られなくてもいい、相手のものを触っているのが好きだ、と。口調は穏やかで当時の私より少し年上な感じがしました。私は特に反論する気も起こりませんでした。

彼は私の陰茎の形が気に入ったといい、もう一度触りたいと言いました。私はそれはいいけれど、自分だけが達しているのでそれが気に入らないと伝えると、彼はこう提案しました、では片手で私のを触り、もう片方で自分のを触る、と。自分は一方的にされるだけだけど、一緒に気持ちよくなるのであればまあいいか、と思い受け入れました。

通常男性が二度つづけて射精に達すると三度目はそれほど盛り上がらないものです。でも彼の手にかかると違いました。私は股間のものを彼に委ね、快楽に包まれ両手で彼に抱きついていました。彼は器用なことに自分自身に対しても同じことをしていたようで、興奮している様子が伝わってきました。私は前二回に劣らないほどの快楽の中で達してしまい、そのまま動けずにいました。

しばらくすると彼は、また会えるといいね、という言葉を残して去っていきました。私はこのあと彼と会うことはありませんでした。実際のところ発展場ではいろいろ経験したため、このことはあまり気に留めていませんでした。

ずいぶん経って、私が性同一性障害について認識した後、私とは逆に女性の体を持ちながら男性を自認する人たちがいることを知りました。FtMと呼ばれる人たちのことです。彼らは体を男性化するために男性ホルモンを取るのです。

彼らはMtFの私とはおよそ逆の方向へ体が変化していきます。一般に言われているのが以下のようなものです。

  • 髪の毛が剛毛になる、薄毛になることがある
  • 筋肉が発達する
  • 声が低くなる
  • 体毛が濃くなる
  • 皮下脂肪が減り内臓脂肪が増える
  • 皮膚に脂の分泌が増え、ニキビができやすくなる
  • 血管が浮き出る
  • 生理が止まる
  • クリトリスが肥大する
  • 性欲が増大する
  • 食欲が増大する

あるとき機会があり、FtMのクリトリス肥大の写真を見ました。そこでふと思い出したのは、あの発展場で出会った人の小指ほどの陰茎でした。

小柄な体型、穏やかで優しい性質、他人の陰茎がすきなこと、独特の性的テクニックなどから、私は彼がFtMだったと思うのです。彼に聞いたわけではないので確定することはできませんが。

FtMの方もSRSによって男性の体に近づけるようです。男性器の形成の他に乳房の除去なども必要で、費用はMtFのSRSより高額になる傾向があるようです。

もうずいぶん昔のことですから、彼が今どのように暮らしているのか想像もつきません。でももし彼がFtMであったとすれば、男性として元気に暮らしていることを望んでやみません。

登山と温泉

こんにちは、サクラです。

今日は友人と登山と温泉に行った話をします。

私は登山が好きで近くの山によく登りに行きます。上り斜面をひたすら登り続けるのは辛いのですが、天空の世界はとても静かで澄んだ気持ちになります。そして外界を離れること、また外界を見下ろすことは、日常のストレスになる出来事を些末なものに見せてくれます。

このようなことを期待して行う登山は、いわば心のデトックスといえるでしょう。日本では古くから山は信仰の対象であり、宗教的精神的鍛錬の場であったことも頷けます。

大抵の場合、斜面をほんの一時間も登っただけで汗が吹き出してきます。下山する頃にはべったりと体中汗をかくことになります。

今までの私は山に登った後そのまま家に帰って家の風呂に入っていました。SRS、つまり性別適合手術前の私は大浴場に入ることが事実上できなかったため、帰り道にある温泉は素通りせざるを得ませんでした。ここで何度も言っていることですが、大浴場に入れることというのは私がSRSにもとめていたものの一つです。

そして術後には温泉に入れるようになったので、私は今までのストイックな登山のみのルートを見直して、温泉を含めたルートを計画しました。

ちょうど予定が合い、登山好きの友人も参加することになりました。彼女は今までの私の女性化の過程でアドバイスや励ましをくれた人で、私が男性であったころから知っていて、今の状況も話せる唯一の友人です。他の友人は昔だけを知っているか、最近だけを知っているのみなので、彼女の存在は実に貴重だと思っています。もし一緒に登山にいって温泉まで一緒に入れるのでしたら、これは素晴らしいことだと思いました。

当日、朝早く私は友人と待ち合わせ、山に登り、見晴らしのよい山頂で気分良く過ごしたあと温泉に向かいました。温泉についた頃は全身汗べったりでした。二人ですぐに露天風呂に入ってゆっくりすることにしました。

今回のミッションが達成した瞬間です。私は山に登って温泉に入るという多くの人々が普通にしていることに、10年以上かけてようやくたどり着いたのです。

また、私と友人は、見かけ上それぞれ男の子と女の子として知り合っていながら、今は二人の中年女性として裸でお風呂に入っているのですからなんだか不思議なものです。

トランスジェンダーでSRSに求めるものは人によっていろいろあるでしょう。私は日常的に、プールや大浴場をふくめた全ての場において女性として差し障りのない生活ができることが主目的でした。そのため体に負担のかかる造膣はせず、外性器の形成術のみにしました。

性同一性障害は他の精神的な障害とちがい、理解されにくいところがありますが、私は「通常の性の区別に合致しないためおこるQOL(Quality Of Life=生活の質)の低下」と理解しています。

私にとってはSRSによってQOLが著しく向上しました。出来なかったことが出来るようになり、行けなかった場所に行けるようになったからです。

湯船に浸かっているとき、友人に私の外性器をちらっと見せました。彼女は「よく作ってあるねー」と感心していました。私は自分の性器を褒められて得意な気持ちになりましたが、よくよく考えるとその栄誉は手術をしてくれたドクターに帰するものだと思いました。

ドクターどうもありがとう。

凸と共に去りぬ

こんにちは、サクラです。

今日は身体感覚の変化について書きます。

前回の記事に書いた通り、プールに行けるようになってから、楽しくて何度も行っています。最初はセパレートの水着を着ていましたが、競泳用のワンピース水着を買いました。少しサイズダウンしたので大きめの11号か13号になりました。ワンピースは作りがシンプルなので着心地、泳ぎ心地はよいです。

プールは運動になったり、適度な水圧が肌の美容によかったり、いろいろ語りたいことはあるのですが、今の私にとってのプールは身体感覚を養うのに大変役に立つものになっています。体全体で水圧、水流、浮力を受けるので身体感覚に意識的に、そして敏感になります。

SRS前に股間にあったものが今はない状態なので、ここが身体感覚で一番ギャップを感じるところです。快とか不快とかではなくて、単に慣れていないということです。こぶとり爺さんが鬼にコブを取り去ってもらったときにもこんな感じがしたのかしら、などと考えてしまいます。

このような身体感覚のギャップはプールで身体感覚を養うことによって解消されてきたようです。現状の身体に合わせて感覚が更新されたといってもいいでしょう。

私の個人的な意見かもしれませんが、身体感覚は一度更新されると以前の感覚を思い出すことは困難に思えます。つい3ヶ月前までは私には男性器がついていて胴体の末端に凸状に配置され、水流があればそれを乱流に変えていたはずです。しかし今ではそのような感覚を思い出すことが難しくなってきました。

もちろん自分の記憶を援用すれば思い出すこともできますが、誰かに聞いた噂話や、本で読んだ神話の世界のような遠くのことがらのように思えてしまいます。

SRSの前の私は、(今と同様ではあるのですが)女性用のショーツを履いていました。しかし、女性用ショーツは当然ながら凸部が考慮されていない作りなので当時の私には窮屈だったと思います。ただし、当時は一向に気にしていませんでした。自分の性自認が一番に優先されていたので、むしろ窮屈さは喜びだったとさえ言えます。

今ではその窮屈さも、うまく思い出せなくなってきました。女性用ショーツは股間に凸部がない人向けなのだ、と今では思っています。おそらく私以外の多くの人に当然のこととして広く受け入れられている事実です。

SRSは実にいろいろな価値観の変化を私にもたらします。昨日信じていた窮屈さは今日は忘れてしまっています。昔の有名な映画の台詞に、明日は明日の風が吹く— Tomorrow is another day — という台詞がありました。身体感覚が変わるということは、まるで別な風が吹いている明日に生きるようなものだと思います。

プールのこと水着のこと

こんにちは、サクラです。

SRS後に初のプールに行きました。

術後の経過がよく、車の長距離運転もできるようになり、自転車にも普通に乗れるようになりました。ただしこれはSRS前の状態に回復したというだけのことです。

ここではSRSの結果でできるようになったことを書きたいと思います。以前、露天風呂に入ったことを書きましたが今回はプールです。いわゆる近所のスポーツセンターにあるプールに行ってきました。

憧れの露天風呂

大浴場は全裸で入るので、水着着用のプールの方がミッションとしてはハードルは低いと言えるでしょう。とはいえ、プールはお風呂と並びSRS前の私に出来ないことの筆頭でした。

まず男女どちらの更衣室に入ればよいのか、これはお風呂の男湯女湯と同じ問題です。ただし更衣室を通り過ぎて実際のプールには男女入り混じって入るわけですから、お風呂よりも皮肉の度合いが強いと言えます。プールが問題というより更衣室が問題なのです。

一度海外のプール付きのホテルに泊まったことがありましたが、そこではプールに入ることが出来ました。というのも部屋から直接水着を着てプールに行き、上がるときにも身体を軽く拭いた状態で部屋に戻れたからです。この時にはタンキニと言われるビキニセットにタンクトップとスカートがついた4点セットを着ていました。まだ男性器はついていたのでショーツが盛り上がって見えるのを防ぐためスカート部分は必要でした。

海外ではパスポートに男性との表記があるにもかかわらず、ホテルの人は私にmadamという敬称を使ってくれました。なんとなく礼儀作法や、人との距離感が日本国内外では違うなと思ったものです。

国内の通常のプールにはもっと長い期間、おそらく10年以上は行っていませんでした。

娘たちが小さい時にはよくプールに連れて行きました。夏の公園は熱中症の恐れがありますが、プールではそのような心配はありません。娘たちはよく遊んで、その後はご飯を沢山食べて、すぐに寝てくれるので、真夏には一番いいお出かけでした。当時まだ私は男性更衣室を使っていました。娘たちも小さかったので一緒に連れて入っていました。

その後は、ホルモン治療のために男性更衣室には行きづらくなり、娘も大きくなってきて男子更衣室でなく女子更衣室で着替えたい年頃になり、なし崩し的に家族でプールには行かなくなってしまいました。更衣室の問題が重くのしかかってきたのを感じました。

近所のプールでは2時間400円のチケットを券売機で買って入ります。女子更衣室を使うのは全く問題ありませんでした。大浴場での経験が生かされていると思います。

私の水着はエクササイズ用の上下分かれているものです。下はサポーターを履きました。多分近所のプールではこのような上下に分かれて露出の少ないものが無難だと思います。もう少し洒落たプールであったり海であったりしたら、ワンピースなども試してみたいと思います。もう少し若ければビキニも試したいところですが、今のところは海外限定にしておきます。

ただサイズ選びは難しいものがあります。私はいろいろ試着したところサイズは13号とわかりました。胸自体は大きくないもののアンダーバストが大きいので、ここがボトルネックになっています。

水着はサイズ感が大事なので合わせる時には一番大きな部位で合わせます。お尻が大きい人はお尻のサイズ、胸が大きい人は胸のサイズが合うものにします。小さいものを無理に着ようとすると血行に悪く体に負担をかけます。また伸び切った繊維にプールの塩素が作用しやすくなり水着の劣化が早まってしまいます。

また、セパレートであれば問題ないのですが、ワンピースでは別の問題も出てきます。ワンピースは平均的な女性の大きさに合わせています。横のサイズが良くても縦のサイズにも注意が必要です。

一般にスリーサイズを正確に測っておくことは大事ですが、他に縦胴回りを測っておきましょう。ただ男性の方が女性より胴が短く足が長い傾向があるので、MtFで背が飛び抜けて高くない方であれば問題ないかも知れません。

私はもう少し頑張って11号のサイズに落としたいと思います。というのも女性の水着のサイズ展開は7号、9号、11号が主で、これはS、M、Lに対応します。これより大きいサイズだと、可愛い水着を探すのが難しくなってきます。通販だと簡単に見つかりますが、やはり試着をしておきたいところです。

そのようなわけで、水着選びは結局ダイエットの問題に戻ってきます。

前にも何度か書きましたが、SRS後には体型が少しずつ変わってきています。こういったことを考えていくと、MtFの水着選びはSRS後数年の間、いろいろ試行錯誤が必要になりそうです。

 

夢精リターンズ

サクラです、こんにちは。

夢精とは男性特有の現象ですが、性的な夢やそれに引き続く性的絶頂、つまりオーガズムは男女共通のようです。

夢精は性的な夢と自然発生的な射精を伴うものです。精巣が正常に機能している男性であれば射精をしない時期が長期に渡ると、夢精につながりやすいと言われています。精液は射出状況に関係なく常に造精されるので精嚢が一杯になってしまうためです。

私は若いころよく夢精をしていた時期があります。男性としての機能は正常に働いていたものの、性的な気力が湧かず自慰も性交もしなかったためです。今から考えると軽い鬱状態だったのかも知れません。

ホルモン治療を始めてからこの造精作用は衰えたため、夢精はおこらなくなりました。これは私にとっては嬉しい体の変化でした。軍需産業が武器を造り続ければ、それを消費するために、何か口実をつけて戦争や紛争が勃発することがあります。私の身体の軍需工場はその生産ラインを停止したので、戦争の可能性は極端に減り平和が訪れました。

SRSによって陰茎の一部の性感帯は女性器形成のため残されたものの射精する器官は全て取り除かれた私は夢精とは全く無縁の存在になったと信じていました。しかしある時、睡眠中にクリトリスに相当する部分に性感が起こって、筋肉の収縮と弛緩の連続的な繰り返しとオーガズムを感じました。夢の中では今はないはずの陰茎、あるいは実際に形成されているクリトリスからなにか液体がでているような身体感覚がありました。

ふと目が覚めて、股間の様子をみるととくに何か濡れている様子はありませんでした。造膣をしていない私は多量の液を分泌する器官は持っていないので、いわゆる「濡れる」ことは起こりません。ただただ夢の中の出来事だったようです。

睡眠中のオーガズムは女性にも見られるようです、ただし男性の夢精と違い判別が難しいようです。

Studies have found that more males have more frequent spontaneous nocturnal sexual experiences than females. Female wet dreams may be more difficult to identify with certainty than male wet dreams because ejaculation is usually associated with male orgasm while vaginal lubrication may not indicate orgasm.

研究は女性より多くの男性がより頻繁に自然発生的な夜間の性的経験をしていると明らかにしています。女性の「濡れた夢」はそれを確かなものとして判定するには、男性の「濡れた夢」(つまり夢精)より困難があるでしょう、なぜなら膣の潤滑はオーガズムを示すとは限らない一方で、男性の射精にはオーガズムがいつも伴うからです。

脳の働きとしてのオーガズムには、男女差がないようです。ただ性別や身体の作りによって、プロラクチンなどホルモンの影響を受けるため、その発生の仕方、消失の仕方には差があるようです。それが激しいのか緩やかなものであるのか、長く続くのか短く終わるのかは男女差、さらに個体差もあります。

私については、男性でいたときの夢精の体験によって、たとえ男性器を失った今の状態でも、睡眠時のオーガズムに導きやすい性質が作られているのではないかと思われます。オーガズムに至るためには、独自のコツがいるというのは否定できないでしょう。

特に男性であることに嫌悪していた以前より、女性的な存在でいられる現在のほうが性的なものに対して積極的な価値を見出しやすいということも、この傾向を強めている気がします。

まだ激しく触るまでは術部が回復しているとはいえないので、回復を待って夢ではない状態で達することができるか試してみようと思います。これはSRSが成功したかどうかの指標にもなると思います。