憧れの露天風呂

サクラです、こんにちは。

ホルモン治療がある程度進んでから今まで、覚えている限り10年間、私は銭湯や温泉に入ったことがありませんでした。正確にいうと旅館の貸し切りだったり家族風呂などは数回ありましたが、不特定多数の人が出入りするお湯にはまったく浸かったことがありません。

女性ホルモンのために胸が張り、一方でヒゲや体毛の脱毛をして、そのような女性的な部分がある反面、男性器はしっかりとついているわけです。男湯と女湯のどちらに入ればよいというのでしょうか?

ハリー・ポッターがロンドンのキングス・クロス駅で電車のホームに行く時にやったみたいに、私のようなどちらにも入れない人たちの入り口が男湯女湯二つの入り口の間にあればと思ったこともあります。

そんなわけで大浴場があるホテルに泊まっても、娘たちだけで行ってもらい、私は部屋についているユニットバスに入るということが習慣となっていました。温泉好きの私にとってはかなり辛いことでした。もう一度言います、辛かったです。

IAM 363T - Hermaphroditus statue.jpg
By SandsteinOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

SRSから2ヶ月たって体調も回復した私は、温泉付きのホテルに娘と泊まりました。もちろん、女湯に入るためです。

女湯は初めてですし、温泉も久しぶりなので、イメージトレーニングをしてから入りました。服を着ている時には、ごまかせる体型、広い肩幅やクビレのないウエスト、あまり大きくないヒップも服を脱げば、あまり女性的でないことはすぐわかるでしょう。不審がられることのないように、だいたい以下のようなことを注意して入りました。

  • 挙動不審にならないで自然にする、目立つことはしない。
  • 人と目を合わせない、もし合ってしまったら普通ににっこりする。
  • 上半身はタオルで隠しぎみにするが、股間は隠さない。

まあ、実際のところ子供からお年寄りまで、太った人から痩せた人まで、いろいろな人がいて、いろいろな体型があるわけですから、あまり心配する必要はないと思いました。身構えずに普通にしていればいいわけです。

それより露天風呂からの景色や夜空を見ながらたっぷりのお湯に浸かるという幸せは、一度それを失った者にとっては無上のものになります。

さて、脱衣所で服を着ていると、後ろにいた小学生低学年の女の子が小さい声で母親に「あのひと女の人かな?」って聞いているのが聞こえました。私について言っているのだとわかりました。さすが子供は鋭いです。母親は慌てて「そうにきまってるでしょ」と言っていました。

実際その母親がどう思ったのかはわかりません。しかし股間に男性器がない以上、そして女性器の形である以上、正義はこちらにあります。誰も今の私に「風呂に入るな」とか「男湯に行け」とは言えないでしょう。こんなわけで私はこの日に何度も大浴場に行きました。

私がSRSを受けた第一の動機は「大浴場に入る」であったので、大金を手術代につぎ込み、その後の回復に時間を掛けた甲斐がありました。失われた10年を取り返すべく、今後もお風呂にはなるべく入っていきたいと思います。

以前ダウトについてのブログを書きました。参考まで。

カードの手札

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