人工子宮と女性の解放

こんにちは、サクラです。

男女の違いってなんでしょう? いろいろの答えがある中で最も重要なのは出産に関することでしょう。もちろんすべての女性が妊娠出産可能というわけではありませんが、男性は誰一人として妊娠出産をすることができません。

現代の技術では、人工的な子宮で女性のお腹を使わずに子供を出産することはできません。試験管ベイビーというのはあくまで卵を受精させる時にin vitro「試験管内」で行われるだけで、その後は、女性の子宮のなかにその受精卵を定着させる必要があります。

代理出産も遺伝的な母親以外の子宮で妊娠出産するもので、人工子宮とは関係ありません。インドではこの代理出産をビジネスとしていて、病院にはお金の対価を受け取り妊娠している女性がベッドに並んでいるとのことです。病院というよりは工場に近いイメージです。

一方で新生児特定集中治療室という早産児を通常の新生児になるまで管理する施設はあり、これは一定の成果を挙げています。

2017年にはアメリカフィラデルフィアの小児病院において、子宮外支援システムを用いて、羊の胎児をへその緒を介して成熟させることのレポートを発表しています。

Nature Communications Biobag system design.jpg
By artridge, Emily A.; Davey, Marcus G.; Hornick, Matthew A.; McGovern, Patrick E.; Mejaddam, Ali Y.; Vrecenak, Jesse D.; Mesas-Burgos, Carmen; Olive, Aliza; Caskey, Robert C.; Weiland, Theodore R.; Han, Jiancheng; Schupper, Alexander J.; Connelly, James T.; Dysart, Kevin C.; Rychik, Jack; Hedrick, Holly L.; Peranteau, William H.; Flake, Alan W. (25 April 2017). “An extra-uterine system to physiologically support the extreme premature lamb”. 8. The Author(s): 15112. Retrieved 2018-01-18. – https://www.nature.com/articles/ncomms15112, CC BY 4.0, Link

実際にはへその緒を介して酸素と栄養の補給、排泄物の排出を適切に行われるようにする必要があります。またホルモンの補充なども適切に行う必要があり、完全に自然の子宮の代わりとなるものはまだまだ研究が必要でしょう。現段階では受精卵からではなく胎児の状態からを想定しているので、受精卵の時期から子宮外で新生児の成熟を導く完全な人工子宮を実現するのはほぼ不可能です。

ここからは仮定の話になります。もし人工子宮が実用化されたら世の中はどうなるでしょうか?

今まで女性の身体を使っていた自然出産はなくなるでしょうか? 現代の感覚であればあまり肯定的には捉えられないでしょう。でも人工分娩が自然分娩より死産や流産を防げることができるようになるとどうでしょう? 自分の子供が確実に生まれてくるために人工出産を選ぶ人が出てくるかも知れません。女性の産後のいろいろな不具合も回避することができます。

また同性同士の子供やトランスジェンダーの子供も作れる技術も出てくるかも知れません。

このような世界では今のようなジェンダーにまつわる様々な問題は違う様相になると思われます。女性は出産で休む必要がなくなれば世の中での立場も男性と違いがなくなります。

一方で国家や法人が兵士や従業員を「自分の子供」として出産するという法整備をしてしまうかも知れません。

倫理的な問題はここではかなりデリケートなものになるでしょう。

私にとってはこういった考えに浸るのはとても好きです。そもそも何故私は生まれながらの生物学的性別とは違う性を望んでいるのか、これを利用できるとしたら私はどんな選択をするのだろう。自分の性自認をあらためて考えるいいきっかけになります。

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