SRS後のホルモン療法について

こんにちは、サクラです。

SRSから9ヶ月ほど経ちました、早いものです。今日はSRSのあと行っているホルモン療法について書きたいと思います。

女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストラジオール)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の二種類がありますが、狭義の女性ホルモン、特にMtFに女性化を促すホルモンというと卵胞ホルモンを指すようです。

SRS前の状況

SRSに至るまで12年間、私は女性ホルモンによるホルモン療法を受けていました。大きく分けるとプレマリン錠という錠剤による卵胞ホルモンの補充の期間、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの混合注射の期間、最後に卵胞ホルモンのみの注射期間となります。

最初の錠剤の時期は10ヶ月ほどですぐに注射に切り替えました。

ホルモン療法の経過:10ヶ月目

そのあと、混合注射にしていたのですが、すぐに卵胞ホルモンのみにしてしまいました。黄体ホルモンの効果がよくわからなかったからです。ただ後述しますが黄体ホルモンというのは性周期に重要な働きがあることに後々気づくことになります。

このようなわけで、10年以上卵胞ホルモンのみの注射を受けていました。注射はほぼ週1回の間隔で、多分通常より頻度が高かったかもしれません。

男性ホルモンはこの注射のためずいぶん分泌が抑えられていたと思いますが、睾丸のある間は一定の分泌をしていたようです。これはSRS準備のため直前1ヶ月間ホルモン治療をやめたときに痛感しました。

ペニス 最後の戦い

というわけでSRS前は自前の男性ホルモンと人工の女性ホルモンが拮抗する嵐のような分泌系だったと思われます。その状況に慣れてしまえばたいしたことないのですが、後付で思い起こすとずいぶん体のなかが騒がしかったなと思います。

過ぎ去った喧騒

SRS後の状況

さてSRSが終わって日常に戻ったところで、いつもの医院でホルモン注射を受けることになりました。このとき先生と今後の方針を相談しました。まとめると以下のようなことになります。

  • 睾丸がなくなった今、今までのような頻度で注射する必要はないだろう
  • 前が週1回であるなら二週間に1回で様子をみたらどうか

私はたいてい土曜日に医院に行くので、これからは一週おきの土曜に、言い換えると14日に1回の注射となるわけです。2回注射するのに28日となると、一般の女性でいう性周期に近いのではと思いつき、自分なりの性周期をシミュレートしてみることにしました。

1回目は卵胞ホルモンだけの注射、2回目は卵胞と黄体の両ホルモンの混合注射、これを28日周期で繰り返すというものです。これで、ちょうど女性の性周期と同じような「卵胞期」と「黄体期」の繰り返しとなりそうだというのが目論見です。

MenstrualCycle ja.png
By Shinme – Derived from Image:MenstrualCycle.png, an image made by the user Chris 73, CC 表示-継承 3.0, Link

先生とも相談し、これで様子を見ることになりました。

女性の性周期と重ねるには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの比率の変化を追っていけば良いと思います。卵胞ホルモンは2つの山、黄体ホルモンは後半に1つの山という形になり、黄体の山を通常の女性の性周期に重ねると、卵胞ホルモンだけを注射したタイミングは月経が始まるタイミング(卵胞期開始)、混合注射をするタイミングは排卵日(黄体期開始)、と大雑把に考えて良いでしょう。

数回繰り返すうちに、あることに気づきました。ちょうど黄体期の後半の週、卵胞のみの注射の直前一週間に、なんともいえない性的な高揚感を感じるのです。ベッドで一人で寝てるときも、鼻息が荒くなりウッフーンとでもいってしまいそうになります。多分、実際に言ってることもあります。体をくねらせるだけで気持ちよくなってしまうので、このまま自分はどうにかなってしまうのではないか、とちょっと恐ろしくなりました。とはいえ、この状態も次の注射のあとは徐々に収まるのです。

女友達にこういう現象はあるか、と聞いてみました。しかしあるようなないような、なんとなく要領をえない感じでした。そもそも多くの女性はもっと揺れのある性周期を送っているはずですし、私の性周期はあくまで擬似的なので、そんなに細かいところまで共有できないかもしれません。

この現象に対する名前もなさそうだったので私は仮に「ウッフン期」と名付けることにしました。ネットで調べてみると「生理直前のムラムラ期」という呼び方がありましたが、性欲はむしろ排卵期の卵胞ホルモンが分泌される期間のほうが高まるという記述もありました。私には理解し得ないことです。

私の擬似的性周期では卵胞期、黄体期の終わり、つまり注射直前にホルモン量が低下する体験をしているはずですが、ウッフン期は後者の場合しか現れません。黄体ホルモンの低下、あるいは卵胞黄体両方のホルモンの低下で発現するものなのでしょう。この「ウッフン期」を自分に起こる現象として友人に説明してみました。当然ながら失笑を買いました。

ウッフン期になると例えば職場にいる男性の何人かががいい匂いを発しているように感じて、そばにいるだけでいい気分になってしまいます。(私は戸籍が男性なので職場では男性の立場でいますが、周囲には性的マイノリティと了解してもらっています。)

不思議なものでこの匂いは、その人の外見とは関係ありません。たとえ顔がハンサムだと思っても、あまりいい匂いのしない場合もありますし、逆の場合もあります。上司は10歳以上年長の男性ですが、とてもいい匂いがするのでとくにウッフン期はそばにいたいと思ってしまいます。(業務上の理由をつけて隣に座ったりもします。)

私は今まで自分の性指向はバイセクシャルだと思っていました。男性にたいする指向はSRS以前、性同一性障害対応以前から不思議ではないことでしたが、特にSRS以降顕著に、この男性指向を自然に思えるようになりました。一方女性に対する性的指向は全く無いとまではいえないものの極端に低下した気がします。特に相手が私のことを男性と思っている状況では全く無理です。そもそも男性でいたときに付き合っていた女性も私より男っぽい人がほとんどでした。あまり女性らしい女性とは付き合ったことがありません。

もしかしたら、私の場合、「身体性が男性なので女性を好まなければならない」と思い込む、強迫性の疑似バイセクシャルで、本来は単なる男性指向だったのかもしれません。身体性と性自認とが安定してきたのに、性指向だけ「晴れ上がり」が発生しないのはむしろ不思議でさえあります。

SRSから5ヶ月経過

SRS以前に比べて注射の回数も量も減ったので、体の負担も軽くなったのではと思っています。また何か変化があれば追記することにします。

ではよい性周期を!

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