こんにちは、サクラです。
今回は、友人付き合いについての最近の思いについてお話します。
SRS以降、ここにいろいろ書き連ねたように私は女性としての生活を送っています。その中で特に同性である女性との付き合いが多くなりました。すごく深い付き合いをするわけではないものの、決して表面的なものではなく、会っている間はとても親密にいろいろなことを打ち明けたり助言をしたりされたりします。
私はふと男性であったときの友人を思い出します。特に親しかった(当時私から見て同性であった)男性の友人は今でも時々連絡をくれますが、今現在の私を見ているというよりは過去にその友人と過ごした時期の私を見ようとします。いつかは私がもとの男に戻ると半ば信じています。残念ながら過去と同一化することの難しい私は彼の話す過去の出来事に少々疎ましい印象を持ってしまいます。性移行を行わない二人の間であればそれは心地の良いものだったのでしょう。
現在の友人との会話において、大抵の話題は最新のものになります。上で述べた彼とは対照的に、彼女たちは私の今を受け入れてくれ、今起こっている現象に目を向けてくれます。これは私のような過去からの離脱を経験したものにとってはとても心地よいものです。おそらく私が今まで持ったことのない交友関係がここにあると思っています。そしてこのような交友関係のあり方も私が女性になることで起こった変化の一つだと思います。
さて、あるときフランスの標語である自由・平等・友愛の原文が目に留まりました。
Liberté, Égalité, Fraternité
liberté リベルテは英語のliberty、égalité エガリテはequalityと理解しやすいですが、最後のfraternité フラテルニテはfraternityあるいはbrotherhoodで、ラテン語のfrater「兄弟」に由来し、その原義は兄弟愛です。男女入り混じった集団を男性複数代名詞で表現するフランス語の慣用を考えれば、この言葉は男性同士ではなく、人間同士の絆と考えられるでしょう。実際のところフランス語辞書Larousseでの定義でも以下にある通り性別に対する言及はありません。
1. Lien de solidarité qui devrait unir tous les membres de la famille humaine ; sentiment de ce lien. (人間の家族の全構成員を団結させるべき連帯の絆、 この絆の感覚)
2. Lien qui existe entre les personnes appartenant à la même organisation, qui participent au même idéal. (同じ理想に参加する同じ組織に属する人々の間に存在する絆)
私は上で述べたような自分の新しい交友のありかたについて兄弟愛にならって姉妹愛と言えるのではないかとふと思いました。誰かを兄弟姉妹のように思う親密な絆への視点は女である私にあるからです。フランス語ではsororité ソロリテという、ラテン語のsoror「姉妹」に由来する単語があります。しかしフラテルニテとは違い女性限定の絆を意味します。上述のLarousseでの定義では随分と簡単なものでした。
Attitude de solidarité féminine. (女性的団結の態度)
私にとって結びつきの深いと思う相手は何も女性に限る必要はなく、私の意味するソロリテは究極的にはLarousseの定義するフラテルニテに似たものになるでしょう。フェミニズムの文脈で使われることもあるこの言葉ですが、トランスジェンダーMtFの文脈において体験される交友関係のあり方を表せないだろうかと思っています。