登山と温泉

こんにちは、サクラです。

今日は友人と登山と温泉に行った話をします。

私は登山が好きで近くの山によく登りに行きます。上り斜面をひたすら登り続けるのは辛いのですが、天空の世界はとても静かで澄んだ気持ちになります。そして外界を離れること、また外界を見下ろすことは、日常のストレスになる出来事を些末なものに見せてくれます。

このようなことを期待して行う登山は、いわば心のデトックスといえるでしょう。日本では古くから山は信仰の対象であり、宗教的精神的鍛錬の場であったことも頷けます。

大抵の場合、斜面をほんの一時間も登っただけで汗が吹き出してきます。下山する頃にはべったりと体中汗をかくことになります。

今までの私は山に登った後そのまま家に帰って家の風呂に入っていました。SRS、つまり性別適合手術前の私は大浴場に入ることが事実上できなかったため、帰り道にある温泉は素通りせざるを得ませんでした。ここで何度も言っていることですが、大浴場に入れることというのは私がSRSにもとめていたものの一つです。

そして術後には温泉に入れるようになったので、私は今までのストイックな登山のみのルートを見直して、温泉を含めたルートを計画しました。

ちょうど予定が合い、登山好きの友人も参加することになりました。彼女は今までの私の女性化の過程でアドバイスや励ましをくれた人で、私が男性であったころから知っていて、今の状況も話せる唯一の友人です。他の友人は昔だけを知っているか、最近だけを知っているのみなので、彼女の存在は実に貴重だと思っています。もし一緒に登山にいって温泉まで一緒に入れるのでしたら、これは素晴らしいことだと思いました。

当日、朝早く私は友人と待ち合わせ、山に登り、見晴らしのよい山頂で気分良く過ごしたあと温泉に向かいました。温泉についた頃は全身汗べったりでした。二人ですぐに露天風呂に入ってゆっくりすることにしました。

今回のミッションが達成した瞬間です。私は山に登って温泉に入るという多くの人々が普通にしていることに、10年以上かけてようやくたどり着いたのです。

また、私と友人は、見かけ上それぞれ男の子と女の子として知り合っていながら、今は二人の中年女性として裸でお風呂に入っているのですからなんだか不思議なものです。

トランスジェンダーでSRSに求めるものは人によっていろいろあるでしょう。私は日常的に、プールや大浴場をふくめた全ての場において女性として差し障りのない生活ができることが主目的でした。そのため体に負担のかかる造膣はせず、外性器の形成術のみにしました。

性同一性障害は他の精神的な障害とちがい、理解されにくいところがありますが、私は「通常の性の区別に合致しないためおこるQOL(Quality Of Life=生活の質)の低下」と理解しています。

私にとってはSRSによってQOLが著しく向上しました。出来なかったことが出来るようになり、行けなかった場所に行けるようになったからです。

湯船に浸かっているとき、友人に私の外性器をちらっと見せました。彼女は「よく作ってあるねー」と感心していました。私は自分の性器を褒められて得意な気持ちになりましたが、よくよく考えるとその栄誉は手術をしてくれたドクターに帰するものだと思いました。

ドクターどうもありがとう。

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