異邦人

さくらです。

トランスジェンダーは見知らぬ人から理由のない敵意を向けられることがあります。

男であれば平気
女であれば平気
だけどどちらかわからないのは駄目

という理屈です。彼らを不寛容な人、差別主義者というのは簡単です。でも日常的にあまりにも頻繁にこういうことに出会うとしたらどうでしょう。やはり自分の方でも心構えが必要です。

イギリスのアーティストが自分の出自のため外国で奇異の目を向けられる様子を歌った歌があります。トランスジェンダーであること、GIDがであることが避けようのない自分の特性であると認識するとき、彼の歌は自分にとっても大事なメッセージと捉えることができます。2006年10月の日記に日本語訳がありました。イギリス人であることを強調する1番は訳されていませんでしたので2番からです。

 

「異邦人」

よい習慣がよい人をつくるのであれば
その人こそが勇気のある人だ
無知で野蛮な扱いを受けても笑っている
誰がなんと批判しようが自分を見失わない

そう、私は異邦人
制度として認められてはいるけれど
結局のところよそ者なのだ

控えめで礼儀をわきまえていれば
いつしかそれが知られるところとなる
あなたもそのことで大切にされるだろう
親切で平静でいることは今の世の中では珍しい
夜のロウソクは昼の太陽より明るいのだ

戦いの道具をそろえるより
人格を完成させるのだ
向かうべき敵とは対決するが
可能であれば避ける
走ってはいけない
歩くのだ

よい習慣がよい人をつくるのであれば
その人こそが勇気のある人だ
無知で野蛮な扱いを受けても笑っている
誰がなんと批判しようが自分を見失わない

“Englishman in New York” by Sting

レーザー脱毛

サクラです。こんにちは。

ホルモン療法を行うと、多かれ少なかれ体に変化が出てきます。MtFのGIDの場合、体の脂肪の付き方が変わり、体毛は薄くなり、筋肉が少なくなります。これらは本人にとってとても望ましい変化です。

私がとてもうれしく思ったのは背中の三角筋や肩甲骨の周りの筋肉が減ったことです。前から見た場合、男性は両手を横に上げるとこれらの筋肉が横に張り出して上半身に逆三角形のシルエットを作ります。女性はこうはなりません。私は逆三角形から解放されたのでした。

このように好ましい変化がある一方で、ほぼ変化のないこともあります。それは顔のヒゲです。体毛は全体に薄くなるのですが、男性のヒゲはそれぞれの毛が太すぎてほとんど変化しません。男性でもヒゲの濃さには個人差があるので薄い人はもしかしたら変化を感じるかもしれません。しかし私はかなり濃いほうでした。

2006年9月、ホルモン療法を始めて4ヶ月後から顔のレーザー治療をはじめました。その一月前に美容外科に診断に行くと「日焼けしていると効果がうすい」といわれ、日焼けが薄くなるのを待ってからの開始でした。治療はやけどと同じようなものでかなり痛いです。また数日は顔の下半分が腫れて下膨れになり毛嚢炎にもなります。ただ焼けた毛根から最後の毛がぽろりと出てくるのはなんとも嬉しい光景でした。

10回の治療を終えるとほとんどのヒゲはなくなりました。ただ30代半ばだった当時ヒゲにはすでに白髪がまざっていてこれは脱毛できませんでした。レーザーは色のある毛にしか反応しないのです。これは予め美容外科の人にも言われていたことでした。目立たないとはいえこれらのヒゲは今でも残っているので毛抜で抜いたりカミソリで剃ったりしています。

私はこのほか足全体とワキを脱毛しました。スネ毛が濃かったので足をだす格好や、ストッキングの着用が難しかったのでした。ワキは脱毛のポイントがたまったのでついでにやってもらいました。足に毛がないとお風呂が楽しくなります。濡れたスネ毛が足にまとわりつく不快な感覚がなくなったからです。

ところで腕や胸はレーザー脱毛しませんでした。財政的に負荷がかかるので優先度の低い箇所はできなかったというのが実情です。ただホルモン療法を12年続けてきた今では腕毛も胸毛もほぼなくなってしまいました。

今では自宅用の脱毛器具もあるのでそれを利用できるでしょう。ただ美容外科や脱毛サロンの場合、家庭用の機器より出力が大きいので短い期間で毛を薄くしたいのであれば利用価値は大いにあると思います。

勇気ある人

サクラです、こんにちは。

なにも性同一性障害(GID)への対処に限ったことではありませんが物事を進めるというのは勇気のいることだと思います。正直なところGIDに向き合った12年前の気持ちは今となっては覚えていません。でも勇気が必要であったことは疑う余地がありません。2006年8月の日記には勇気をもって物事を進める人を歌った英語の歌詞を日記で訳していました。

「勇気のある人」

もし君が自分の心の中を覗くのなら
そこには勇気ある人がいる
君が君自身であることにこわがらないで

もし君が自分の魂に触れるのなら
そこには答えがある
君の知っている悲しみは溶けていくだろう

そして勇気ある人がやってくる、
物事を成し遂げる強さを携えて
恐れを脇に押しのけて
君は自分が生き延びられるって知っているよね

希望がなくなったと感じたら
君自身の内側をみて強くなってね
最後に君は本当のことを知るよ、
勇気ある人が君の中にいるってね

世の中に出て行くこと
それは長い道のりだよ
誰も君を受け止めるために
手を差し伸べたりしないからね

もし君が自分の中を探すのなら
君は愛を見つけることもできるよ
そのとき君の感じる虚しさは消えてしまうだろう

そして勇気ある人がやってくる、
物事を成し遂げる強さを携えて
恐れを脇に押しのけて
君は自分が生き延びられるって知っているよね

希望がなくなったと感じたら
君自身の内側をみて強くなってね
最後に君は本当のことを知るよ、
勇気ある人が君の中にいるってね

天は知っているよ
夢を追う事は難しいって
だけどそれを誰かに
ばらばらにさせたりしないでね
しっかり抱きしめて
常に明日はあるよ
そしていつかたどり着けるよ

“Hero” by Mariah Carey

たくさんの星

こんにちはサクラです。

性同一性障害に向き合うというのは覚悟がいることだと思います。少なくとも私にはそうでした。家族に打ち明けるにしても世の中と折り合いをつけるにしても一筋縄ではいきません。友人はいてもこの状況を共有できる経験を持っているとも限りません。

特に私は妻と子供二人がいたのでかなりデリケートな状況があったと思います。限られた状況であってもやはり選択肢は存在して、その中から何を選ぶかはとても迷うことです。2006年9月、ホルモン療法を初めてから4ヶ月目の日記には英語の歌詞の訳がありました。

「たくさんの星」

夜明けが夢に満たされる
たくさんの夢、どれがわたしのなのかな?
どれか一つは私のためにあるはず
すべての星に夢が託されているとしたら
すべての夢の中でどれがわたしのなのかな?
それにしても
ああ、ほんとうにたくさんの星…

風が歌に満たされる
たくさんの歌、どれがわたしのなのかな?
どれか一つは私のためにあるはず
すべての星に歌が託されているとしたら
すべての歌の中でどれがわたしのなのかな?
それにしても
ああ、ほんとうにたくさんの星…

数え切れない昼と
終わりのない夜にそって
わたしはさがした
たくさんの瞳と
たくさんの心と
たくさんの笑顔にそって

なにを選べばいいのだろう?
どの道を行けばいいのだろう?
どうやってそれを語ることができるのだろう?
どうやってそれを知ることができるのだろう?
たくさんの、
ほんとうにたくさんの星の中から…

“So Many Stars” Alan & Marilyn Bergman

ホルモン療法の初期

こんにちはサクラです。

引き続き過去の日記をあさっています。ホルモン療法を始めて4日目、2006年5月22日の記録です。

プレマリンを飲みだして今日で4日目です。
体が少し慣れたようです。

昨日までの3日間は0.625mgの錠剤を朝に飲んでいました。
でも夜になると濃度が薄くなるのがわかっていました。

添付文書の用法・用量を見てみると
成人1日0.625~1.25mgとありました。
2錠まで想定されているということです。

知り合いの薬剤師に相談したら
朝1錠と晩1錠の投与も可能だといわれました。

そのため夕方にもう1錠投与しました。
丁度12時間の間隔をとることにしました。
しばらく1日2錠で様子を見ることにします。

まだ4日しかたっていませんが
気付いたことを書いておきます。

1.体の筋肉が柔らかくなった

今まで硬いからに入っていたような感覚が
徐々にですが減ってきました。
とてもリラックスしています。

2.男性の機能が微妙に弱まった

朝起きるときにおこる「朝立ち」が余り起こりません。
今までは予期せず陰茎が勃起することがあったのですが
日中もとても静かです。
とても不快な生理現象なので
精神的にとても安定しています。

3.感覚が鋭敏になってきた

皮膚感覚が特に顕著で空気の振動のようなものを感じます。
微妙に体が暖かいです。
嗅覚が鋭くなった気がします。

4.食べ物の嗜好が変ってきた

以前は肉や脂などこってりしたものが好きでしたが
それほどでもなくなりました。
サラダをたべたらとてもおいしかったです。
おいしいトマトを食べたいな。

5.焦燥感が減った

いままでなにかにつけて焦っていました。
物事を手際よく早くやろうという欲求よりも
丁寧にやろうと思えています。

以前はとても殺風景なうちっぱなしの壁の
部屋にいるような気がしていました。
今は空気が柔らかくのんびりしていられます。
花の香りがするとうっとりします。

(中略 … 私は今まで)ずっと体に違和感を感じていました。

度のきつい眼鏡をかけているような
がさがさした服を直にきているような
そんな感覚で毎日暮らしていました。

でも今は自分の体が好きになっています。
なんだかようやっとスタート地点に
立ったような気がしています。