こんにちは、サクラです。
早いもので、私がSRSを受けてからもう4ヶ月が経ちました。
術部はほぼ回復したと言って良いでしょう。ただ体表から見て奥の部分ではまだ少し腫れている箇所があるようで、触るとしこりのようなものを感じます。
術後しばらくは陰部の表面の感覚が全くありませんでしたが、今はかなり感覚が戻ってきました。とはいえ以前のように陰茎があるわけではないので、術前とはまったく違う感覚です。今まで女性用ショーツを履くと陰茎のため前部は窮屈に感じていたのですが、今は体にぴったり沿っているので気になりません。というか気にならないということ自体が気になります。
とはいえ、これが通常の感覚として日常化すると、徐々にその新奇な印象は無くなっていきます。最近は生まれた頃からこうなっていたのではないかと錯覚することもあります。体の感覚というものは履歴を持たず常に現在に根付いているものと思います。
その一方で例えば夢の中では陰茎がある自分の夢を見ることもあります。術後に陰部が予想外に、つまり必要以上に回復して以前の陰茎とほぼ同じようなものが生えてきた、なんていう荒唐無稽な夢も見ました。トカゲの尻尾とかヒトデの触手ではないので、一度失ったらもう生えてくることはないはずですが、目覚めたときちょっとだけ心配になります。
体つきについては、骨格が変わらないわりには微妙な肉付きが変わったと思います。とても微妙ですが。筋肉は運動によって付くには付くのですが、男性のムキムキとした感じにはなりにくいです。
髪質はここ4ヶ月で生えたであろう根本から数センチのところを見てみると細く柔らかくなっているように思います。私は前髪の毛量が少ないので増えることを期待していたのですが、今の所は微増、目に見てわかるほどの変化なしといったところです。行く場所によってはウィグが必要なときがあります。
性自認についても変化がありました。今までは女性であるという性自認に対して、社会的に認められてないことから不安に思っていた面がありました。それが少しずつ減ってきました。というのも、今の私の体は男性の要件を満たさない一方で、多くの女性の要件を満たすようになったため、女性であることが当然のように思えてきたのです。下世話ですが陰茎の有る無しはこの要件に大きく作用することは間違いありません。
おそらく多くの女性は、自分の性自認を疑うことはないと思います。私も多かれ少なかれ、それに近くなったと思われます。もし「お前は女じゃないな」といわれても「ひどいなー」などと軽い気持ちで返せてしまいそうです。
ここ10年間の性の越境の時期に溜まっていった、どっちつかずの悶々としたわだかまりの多くが消えて行った気がします。お風呂の栓を抜くと、残り湯が流れ出ていきますが、お風呂の栓を陰茎に、残り湯をわだかまりと例えれば、この状況をうまく表現できそうです。それに代わり、心に根拠のない自信や自己肯定感が生まれてきました。実はここが一番大きなメリットである気がしています。
経済的な不安や子供たちと自分の将来についての不安は以前と同じように目の前に存在するのですが、なんとかなるだろうという気持ちが前より強くなった気がします。
上の娘からきくところによると、親しい友人には親がトランスジェンダーということを自慢しているそうです。私はむしろ今までこの理由で娘たちがいじめられるのではないかと常に心配していましたから、娘が自分の箔付けに使うとは思っても見ませんでした。
親が会社の社長とか、芸能人とか、作家や漫画家だとかで周囲から羨ましがられる人がいますが、親がトランスジェンダーというのも(おそらくある状況下で)同じ効能をもつことがあるようです。