ペリネケアについて

サクラです、こんにちは。

みなさんはペリネという言葉をご存知でしょうか? ペリネはもとはフランス語の単語で、骨盤の底を指す言葉として日本では使われています。ペリネケアとは経産婦の産後のケアの一つで、この部位の筋肉にリハビリを施すことにより、尿もれや悪い姿勢などの不調を改善し、社会復帰を早めることを目的としています。

私は性別適合手術を受けたMtFで、経産婦ではありませんが、手術によりこの部位に多大な負担をかけたため、ペリネに対するケアは必要だと考えました。実際のところ術後の経過は排尿がうまくいくかどうかが重要とされているからです。

そもそもペリネ périnéeは、英語ではperineum、日本語では「会陰」と訳されます。英語のperineumはラテン語の流用で、さらにこれはギリシア語のπερί「周辺の」と動詞 ἰνέω「空にする、排出する」の複合語に由来しています。

ペリネケアが発達したのは、女性の社会進出の進んだフランスでのことだったので、会陰という旧来の日本語は使われず、フランス語のペリネという言葉がそのままカタカナ表記で使われるようになったのでしょう。フランス語の説明を見てみましょう。

Le périnée est une région en forme de losange orienté d’avant en arrière, convexe vers le bas, et située entre les racines des membres inférieurs. Ses limites sont la symphyse pubienne médialement en avant, les branches ischiopubiennes des os coxaux latéralement en avant, les ligaments sacrotubéraux latéralement en arrière, et le coccyx médialement en arrière. En haut (en profondeur) elle est limitée par le diaphragme pelvien. Ce losange est divisé en deux triangles par une ligne transversale imaginaire, un triangle antérieur urogénital et un triangle postérieur anal.

ざっと訳してみます。

ペリネとは菱形の部位で、前方から後方に下に向かって広がり、下肢の付け根の間に位置する。その境界は、前方の中心は恥骨結合、 前方の両側は寛骨の坐骨恥骨方向の部分、後方の両側は仙骨結節靭帯、そして後方の中心が尾骨である。 深さにおいて一番上部は骨盤隔膜がその境界となる。その菱形は仮想的に横断する線によって二つの三角形に分割される。前方は泌尿生殖器の三角形、後方は肛門の三角形である。

Gray408.png
Par Henry Vandyke CarterHenry Gray (1918) Anatomy of the Human Body (See “Livre” section below)
Bartleby.com: Gray’s Anatomy, Planche 408, Domaine public, Lien

こんな専門用語の多いフランス語を訳したのは初めてです。言わんとしていることは両足の付根を結んだ線と恥骨を頂点として作られるのが「泌尿生殖器の三角形」、同様にその線と尾骨を頂点として作られるのが「肛門の三角形」と呼ばれるということです。身体の内部には骨盤隔膜という膜がありそこから下の部分がペリネだということになります。二つの両方の三角形はそれぞれ尿道と膣(男性の場合は精管)、直腸の通り道があり、骨盤硬膜でこれらのコントロールをしています。

骨盤硬膜は骨盤底筋と呼ばれる筋肉で支えられ泌尿生殖器の三角形には深会陰横筋と尿道括約筋、肛門の三角形には肛門挙筋と尾骨筋があります。そして、これらを適切に鍛えることで尿失禁、子宮下垂、子宮脱、膣脱の予防となるといわれています。

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Par Plim79Travail personnel, CC BY-SA 3.0, Lien

上の図の左側が正常な状態、右側が骨盤底筋が弱り膀胱、子宮、直腸が下に降りてきてしまっている状態です。適切なトレーニングやヨガで正常な状態に回復できるそうです。医者でありヨガトレーナであるガスケ Bernadette de Gasquetという人がペリネケアの第一人者のようです。

Après l’accouchement, certaines femmes ont un relâchement du périnée. Elles doivent ré-acquérir son tonus. Le périnée constitue la face inférieure du caisson abdominal. Des efforts musculaires abdominaux excessifs, ou un entraînement des abdominaux mal conduits, peuvent entraîner des lésions du périnée.

出産後、一定の女性はペリネの弛緩が起こります。彼女たちは筋肉の調子を取り戻す必要があります。ペリネは腹腔下部に面しています。過度の腹筋の緊張や不適切な腹部筋肉のトレーニングはペリネの障害をもたらす可能性があります。

ということで適切な指導のもとでの訓練が望ましいということになります。

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