戦争のそなえ

ボンジョルノ・ア・トゥッティ! サクラです。

今日はCovid-19とそれに続く非常事態宣言と私の近況について、トランスジェンダーの文脈も絡めてお話したいと思います。

非常事態宣言がでるちょっと前から、自分の活動圏内で感染者が出たりなど、だんだんと行動が制限されることが増えていました。外出自粛となった後も私は仕事の都合でオフィスに自転車で通っていました、街のどこで病に倒れるかも予測できない状況は、もしかしたら戦時の空襲下の恐怖と似ているのではないかと思いました。

私がSRSを受けたのが2年前の6月です。2年前のこの時期はもうホルモン療法を中止し、手術の最終準備段階に突入していました。仮にこの予定を後ろ倒ししていたら、例えば今年の6月に予定したとしたら、SRSは中止、少なくとも延期されていたでしょう。

足掛け10年にも渡るトランスジェンダーな生活の中でSRSをいつ行うかは、私の中で重要な検討事項の一つでした。小さい娘たちの世話をしなければならないことや、経済的な事情、仕事に就ける機会などを考えると、SRSを実現するピースがずっと揃わなかったのでした。

2年前の年明けに年の目標を定めようと思ったときに、このSRSのピースのすべてが揃いかけていることに気づきました。全てが完全に嵌るわけではありませんでしたが、結果として私のSRS計画は完遂することができました。

自分の直面する課題を後ろ倒しにすることはよくあると思います。直面する課題が大きければ大きいほどそれと向き合うには精神力が必要です。しかし、ある時点での状況が将来にわたって継続するとは限りません。値ごろな買値の株も明日には暴騰して手が届かなくなるかもしれません。(もちろん暴落することだってあります。)

「今日できることを明日に延ばすな(Never put off till tomorrow what you can do today)」というのはアメリカのある大統領の言葉(あるいはアメリカのある作家の言葉)だそうですが、私は以下の言葉もあわせて挙げたいと思います。

Si vis pacem, para bellum

ラテン語の格言で直訳すると「もし君が平和を欲するのであれば、戦争(に対して自身)を準備しなさい」となります。いろいろな解釈があり、一般的な解釈は「平和を確立するのであれば強固な軍事力を用意しなさい」というものです。

しかし私はこのように解釈することもできると思います、「もし君が心の平和を欲するのであれば、いつ発現するかわからない戦争に匹敵するような非常事態にそなえ、可能な限りの準備をしなさい」と。

2年前の自身の決断で、その後の自分に心の平安がもたらされていることは疑いようがありません。術部もすっかり回復し、感覚も術部と周囲との境目の断絶は感じられず、あたかも生まれたときからこのような姿だったのではないかと信じるほどです。男性は今では私にとって完全に異性であり、日常で出会う多くの人が私を女性として扱います。

ただ、私はトランスジェンダーの傾向のある方に、何が何でもSRSを進めているわけではありません。

SRSで後悔しないために

自分の欲する「平和」がどのようなものであるかについては徹底的に考え抜く必要があります。自分のできることはその時々によって変化するため、常に何をするべきかも同様に考える必要があります。そしてその実現は一般に考えられるようなものとは全く別な方法でなされることだってありえるのです。

「戦争のそなえ」への1件の返信

  1. こんにちは!確かに今回のコロナの影響って多岐に渡ってますよね。このタイミングで自分自身にとっての平和ってどこにあるのがを考えてみるのも良いかもしれないですよね。

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