人間関係の変化について

こんにちは、サクラです。

今日はSRSの後から変化のあった人間関係についてお話します。

最近の自分にとって大きな変化は二つあります。最初はもちろんSRSで、これによって身体的にも精神的にも女性としての性自認が固定していくことになります。もう一つはウィグをやめたことで、これにより男性として暮らしていた生活の一面と、女性としてのそれとが統合することになります。脱ウィグはSRSによる体の変化のために可能になったことは以前お伝えしました。

ウィグよさらば

 

以前の私は、仕事では男性として暮らし、私生活では女性として暮らしていました。この二つの間でウィグの着脱が存在していたため、両者での断絶は絶対的なものでした。男性のときに会う人や行く店は女性のときに会う人や行く店とは違っていました。クリーニングに行くときにはウィグありの女性として、仕事関係で会う人にはウィグなしの男性として、といった具合です。

実際のところこのような生活はいろいろ面倒です。二つの用事を済ませようとしても、それらが男性として行う用事と女性として行う用事の場合、まとめてできないからです。この場合、一度着替えるか、日を改めたりと工夫していたのです。

この生活は著しく社交力を低下させます。片方の状態で知り合った人と、別のもう片方の状態で会わないようにするとなると、人と知り合うことそれ自体を避けてしまうようになるからです。知り合いを作るために複雑な文脈を抱えるのであれば、知り合いのいない単純な文脈の方が面倒がないのです。

今ではウィグなしで女性として暮らしているので、すべての用事はまとめて行うことができます。女性として会っていた人々にはウィグなしの私に馴れてもらう必要があった一方で、男性として会っていた人々にはより女性化した自分の事情について打ち明ける必要がありました。ただし一度それらの洗礼をすませば、どの人に対しても同じ文脈で付き合えるようになります。もともと人付き合いは苦手ではなかったので、本来の自分の資質を発揮出来るようになりました。

今まで私が見ていた世界は二つに分断され、せわしなくその間を行き来しなければならないものでした。一方で周囲から見える私は、二重にぶれた写真のようにピンぼけで焦点の定まらない掴みどころのない人物だったことでしょう。

人間関係の構築は、私にとっては長らく困難であったことの一つでした。この年末でいろいろな人と会う機会がありますが、去年の年末と比べて人と会う機会が増えたこともこれを端的に示しています。そしてそれぞれの親密さも以前より深いものになっています。

SRSに続く18ヶ月の間に、私とその世界はこのように修復されたのでした。

「人間関係の変化について」への2件の返信

  1. 『総務部長はトランスジェンダー』という本では、著者はSRS済みだけれども有配偶で、家庭では夫として暮らす以外になく、通勤途上に女性服を収納したトランクルームを借りて、そこで着替えをして職場では女性として勤務しているとか、書いてありました。毎日「男性モード→女性モード→男性モード」の切り替えを時間割り当て制で規則的にやっているのだとか。それを称して「毎日がトランスジェンダー」。でも、そういうことはよっぽどその才覚のある人しかできないでしょう。

    わたしの場合は、家庭でも外でも適度に女性モードですが、もともと完パスは無理でもあるし目指してもいないので、すっぴんで、靴もせいぜいフラットパンプス(わざわざ「#KuTooな靴」は履きません)。行き交う人々からは「あっ、女性かな。でもちょっと女性にしては規格外れ。でも、まあいっか。性的少数者の人権についていろいろ配慮の必要性が訴えられているこのごろのことなんだだから」という程度に受け止められていると思います。「モードの切り替え」ではなく、「SRSした、しない」にかかわりなく、一貫してユニセックス寄りの女性モードで一日中を過ごし、かつ人づきあいもしているという状態です。

  2. 明笑さん

    コメントありがとうございます。

    おそらくその部長さんも器用な方なのでしょう。そういう意味では私も器用だから二重生活ができていたのだと思います。しかし、それは本来その人の持つ資質を大いに消費する行為なので、多大な犠牲の上に成り立っているといえます。

    性的少数者に追い風のニュースが多い中で、このような苦労はしなくて良くなっていくかもしれません。ただ、恩恵を受ける性的少数者の方でも世の中に折り合う努力は必要だと思います。

    おっしゃられているような「でも、まあいっか。」と原理原則を手放すことのできる寛容さは、すべての人に求められていると私は思います。

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